深刻化する施設と人材の不足
日本では急激なスピードで高齢者の数が増加しており、介護施設や介護士の数が足りない状態になっている地域もあります。まず、介護施設が不足している問題に関しては、全国的に見てみると、特に特別養護老人ホームの数が足りていません。
その大きな原因の一つは、特別養護老人ホームの介護サービスは24時間体制で充実しており、入居一時金が不要で月々の利用料金が安いことから、入居希望者が殺到していることにあります。介護度の重い高齢者や重度の認知症を患った高齢者の介護を家族だけで行うのは難しく、介護の悩みを抱えた人たちが次々に特別養護老人ホームに助けを求めてやって来ているのです。
100人以上の入所待機者が出ている施設もあり、いつになったら入所できるのか見通しが立たない地域もあります。そして介護士不足の原因として挙げられるのが、介護業界の賃金の低さと身体介護などの過酷な仕事内容、夜勤勤務などの精神的ストレスが大きな勤務体制が挙げられます。
このような仕事内容や勤務体制のため、女性の多い介護の現場では結婚・出産を機に退職する人や、年を取ってくると体力的に仕事を続けることが難しくなる人が出てきてしまいます。現場は常に人手が足りていない状態で、経営責任者は人材の確保に苦労をしています。
最近では面接次第で無資格の就職希望者も受け入れるようになってきており、介護施設側が資格取得費用の負担をするシステムを採用し、有資格者の人材を安定させる努力をしています。